共働き家庭はどのように子育てをしているのか?
「対岸の家事」という2025年4月からTBSで放送されているドラマがある。専業主婦を主人公に家事と育児、仕事と家庭のバランスに悩む現代の家族の姿を描いた作品だ。
作中では専業主婦だけでなく様々な立場で子育てをする人達が登場する。キャリア志向のワーキングマザー。育休中の男性など。そして、作中の登場人物達の描写はどれも生々しい。
僕自身がそうだったのだが、一般的に子供ができるまでは「働きながら子育てをすること」に対するイメージは持ちづらいのではないだろうか。また、子育て中または子育てを終えた方であっても、他の家庭の子育てを想像する機会は少ないのではないかと感じる。「対岸の家事」では子育て世帯の悩みや葛藤がリアルに描かれており、身の回りの子育て世帯の状況を想像する際に非常に参考になる。
本記事では、共働きで子育てをしている我が家の生活スケジュールを一例として紹介する。「対岸の家事」のように、共働き世帯の生活をイメージする上で参考になる情報が提供できれば幸いである。特に子育て中の部下を持つ男性に読んでいただきたい。もちろん人によって状況は異なるので我が家のスケジュールが全てではないが、自身の部下の家庭を想像するのに役立つはずだ。
目次
- はじめに:僕(7番サード)について
- 1日のスケジュール : 共働き夫(僕)
- 1日のスケジュール : 共働き妻
- 子供が風邪をひいた時の対応
- 最後に:子育てしている方を見かけたら
僕(7番サード)について
本題に入る前に前提条件を整理しておく。我が家の状況は以下の通り。
- 共働き(僕:週5日間勤務 フルタイム、妻:週3日間 時短勤務)
- 子供は2人。保育園 or 幼稚園(延長保育あり)に通う
- 両親は自宅から離れて暮らす(妻側・僕側の両親とも他県在住)
子育てサービスも活用しつつ、基本的には妻と2人で子育てをしている。
1日のスケジュール:共働き夫(僕)
まずは僕のスケジュール。
フレックス勤務なので厳密には変動があるが、以下が1番多いパターン。
- 5時〜6時:起床
- 6時〜7時:ゴミ出し・家を出る
- 日中:勤務
- 21時〜23時:帰宅
- 帰宅後:食器洗い・洗濯(干すまで)・夕食・風呂・風呂掃除・米を炊く・自分の弁当を用意
- 1時頃:就寝
我が家の場合、子供たちは21時が就寝目標。僕が帰宅するころには家族全員就寝しているので、妻と顔を合わせて会話するタイミングも少ない。長くても1日に30分程度である。そのため平日は子供の様子や買い出しの連携など、必要なことだけLINEで連絡を取り合っている。
帰宅後は家事をして就寝となるため、通勤時間が唯一の自分時間といった状況だ。正直なところ「もう少しゆっくりできたら」と思うし「子育てしながらの仕事ってしんどい」と感じる瞬間もよくある。
でも妻は僕以上にハードスケジュールだ。
1日のスケジュール :共働き妻
妻が勤務している日のスケジュールは以下の通り。
- 朝6時前後:起床・朝食の準備
- 7時前:子供達を起こす・着替えや朝食のフォロー
- 7時半:出発・(子供達を保育園に送り、自分はそのまま出社)
- 日中:勤務
- 17時:勤務終了、保育園に子供達を迎えに行く
- 18時過ぎ:帰宅・夕食準備・夕食・子供達の風呂や歯磨き
- 21時:寝かしつけ・仮眠
- 1時:翌日の登園準備など
- 2時:就寝
スケジュールだけだとイメージしづらい方もいるかもしれないので補足したい。
まずは出発時と帰宅してから就寝までのスケジュールに注目してほしい。限られた時間の中でやらなければならないことが多くある。朝は「家族の朝食準備」「子供の身支度のフォロー」「保育園への送迎」など。夜は「夕食準備」「子供達の風呂・歯磨きのフォロー」「寝かしつけ」などだ。中でも「子供達の世話を時間内に行う必要がある」といった点は最も過酷だ。子供達は基本的に言うことを聞かない。「幼稚園に行きたくない。」「ご飯は〇〇じゃなきゃ嫌だ。」「お風呂・歯磨きはしたくない。」「寝たくない。おもちゃで遊びたい。」などワガママのオンパレードである。時には怒号を飛ばしながら、毎日根気強く子供達を説得している妻の姿が容易に想像できる。
また、これは僕から見えている範囲でのスケジュールのため、実際はさらに多くの家事・育児をしている可能性が高い。
子供が風邪をひいた時の対応
そしてこれ以上に過酷になるのが、子供が風邪をひいた時だ。園に預けている最中に発熱が分かった時は、妻と僕のどちらかが会社を早退しなければならない。我が家の場合は妻に早退してもらうケースが多い。
園から早退させた後、空いている小児科を探して受診させる。1日で治るケースは稀なので、翌日以降の勤務調整や病児保育の手配なども行う必要がある。預かり先がない場合は会社を休まざるをえない。ベビーシッターを依頼するといった選択肢もあるが、病児を1日預かってもらうとなると料金が高額になるため、よほどのことがないと検討対象に入らない。
そして1番理解してほしいことがある。子供は頻繁に風邪をひく。嘘だと思うかもしれないが、風邪が治った2日後にまた別の風邪をひくといったことも珍しくない。我が家の場合は上の子が治ったタイミングで下の子が発熱する、といったパターンがもはやお決まりのパターンになっている。そのため月によっては、いつも誰かが風邪をひいているといった状態で過ごしている。
最後に:子育てしている方を見かけたら
共働きで子育てをしている人(特に女性)から「子育ては楽だ」といった話を聞いたことがない。もちろん男性側も子育てをしながら働くことは決して楽なことではない。家庭によって状況は違うけど、みなさん日々大変な思いをしているのだろう。
ただ、子育てに関する悩みは職場では相談しづらいように感じる。「子育ては各家庭の問題、大変なのはみんな一緒」といった雰囲気が少なからずあり、悩みを共有しづらいように思う。もちろん「子育てしているから配慮してもらうべきだ。」と声高らかに主張するつもりはない。むしろ人前では自分の境遇を積極的に話さないことが多い。子育てしている側も迷惑をかけたくないと思っているので、積極的に事情を話して支援を求めるケースは多くない。けれど「今どのような境遇か」「何が大変だと思っているか」を理解してもらえるのは非常に助かる。具体的な支援がなくても、事情を理解してもらえるだけで救われる人がいるはずだ。(少なくとも僕はそう)
もし身近に子育てをしている人がいたならば、本記事で説明したような背景をかかえているかも、と想像してもらえるとありがたい。全てを理解する必要はない。今より1mmでもいい。相手の状況を少しでも理解するからこそ、かけることができる言葉・取れる態度があるはずだ。子育てをしている人もそうでない人も、相手のことを理解し互いに尊重し合える、そんな世の中になるよう願っている。
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